秋田県演劇団体連盟
理事長 富橋 信孝
昨年11月22日、展楽座代表の工藤慶悦さんがお亡くなりになりました。享年66歳でした。連盟に加盟した時期がほぼ同じ(1985年前後)だったこともあり、芝居のスタイルや劇団の在り方は違っていましたが、いろいろと芝居の話を聞かせていただきました。時には、お互い若かったこともあり酒を酌み交わしながら口論したこともありました。私が連盟の事務局長時代、この「アマチュア演劇あきた」の印刷は、工藤さんの会社に依頼していました。そして、2001年坂本理事長の5代目就任と同時に、事務局長(約8年間)を務めていただきました。
連盟創立35周年記念事業(2004年)で、県北・県央・県南各地区で合同の演劇公演を開催しましたが、工藤さんは積極的には賛同してくれませんでした。それは、40周年記念事業、45周年に当たった第29回国民文化祭演劇フェスティバルでの合同公演の際も、同じスタンスでした。展楽座さんは‶あぜみち劇場″と銘打ち近隣の町村をこまめに公演して回るという、ユニークな活動を続けていました。そのスタイルは、現在も変わっていません。私が葬儀の前日に工藤さんのお宅に御参りいった日も、展楽座さんは二ツ井町の温泉施設で公演を行っていました。そこには、工藤さんが地元を愛し地元を大切にしながら演劇活動を続けてきた魂がありました。そしてその魂は、間違いなく劇団員の皆さんに受け継がれていました。
連盟が合同公演に突き進もうとした時、「あまり浮かれていないで、足元をしっかり見なさい。」という工藤さんの警鐘だったのでしょう。実は昨年の春、展楽座さんから連盟脱退の申し入れがありました。その確認で工藤さんに電話した際、「いろいろ反対して、悪かったな。」とかすれた声で言われました。それが、私が聞いた工藤さんの最後の声でした。
秋田県演劇団体連盟は、2019年創立50周年を迎えます。現在11団体と加盟団体が減ってきたり、各劇団の高齢化が進んでいる中で、どのような記念事業が出来るのか、工藤さんの警鐘を胸に加盟団体の皆さんと話し合っていきたいと思っております。合掌。